寒くなってきましたね。ウイルス性胃腸炎が流行する季節です。いろいろ種類はありますがどれも感染力が強く、特にロタウイルスは脱水症状が強くなって入院する子供たちが毎年いらっしゃいます。手洗いや消毒で予防することが何より重要なのですが、それでも毎年保育園などで集団発生が報告されています。

さて。このたび日本でようやくロタウイルスのワクチンが発売されました！　世界中の国々よりかなり遅れて（120番目以上）の導入です。

ロタウイルスは一生の間に何度もかかる可能性のあるウイルスですが、初回がとても重症化しやすく、2回目、3回目となると症状は軽く済みます。ワクチンはこの現象を応用して開発されました。つまり、ロタウイルスのワクチンは「ロタウイルス腸炎にかからないわけではないけど、重症化を防ぐ」ことができるワクチンなのです。

ポリオのようにワクチン関連麻痺などの合併症はありませんが、最初に作られたロタウイルスワクチンで（今回発売されたものではありません）1回目の服用後1か月の間（特に1週間以内）に腸重積が起こるリスクが高くなる可能性が報告されています。でも、今回発売されたワクチンでの臨床治験ではワクチン接種によって腸重積は増えないことが確認されています。

・このワクチンは「飲むワクチン」です。4週間あけて2回受けます。
・接種対象年齢は「生後6週から24週0日まで」です。24週を超えて接種は出来ません。
・当クリニックでは「1回目は生後6週から14週6日まで」とさせていただきます。生後15週以降に１回目の接種することについては安全性・有効性のﾃﾞｰﾀがありません（WHOでは15週までに1回目を服用することを推奨しています）。1回目の接種年齢が高くなると腸重積になる率が高くなる可能性が現時点で否定できないので、当クリニックでは安全性を考慮して対象年齢を限らせていただきます。
・このワクチンを接種すると1か月は別のワクチンが受けられなくなります。生後6か月までは接種すべきワクチンがたくさんありますので、他のワクチンが受けられなくなるということは、そのワクチンで予防できるはずのばい菌に感染してしまう危険性が増すことにつながってしまいます。このため当クリニックでは他のワクチンとの「同時接種」に限らせていいただきます。
・接種は1月から開始します。ただし、12月中に当クリニックで他のワクチンの予約を取られている方も、対象年齢（週数）でロタウイルスワクチンの同時接種をご希望される場合にはクリニックへご相談ください。
・1回12000円です。非常に高いワクチンですが、重症化を防ぐ効果も高いです。対象年齢に入る方はぜひ積極的にご検討ください。